咬合学会 part2

前回の続きです。

午後は「入れ歯」をテーマにして参加していましたので、明海大学歯学部臨床教授である鈴木 尚先生の「パーシャルデンチャー(部分入れ歯のことです)はまず歴史から学ぶべき!」を拝聴しました。

部分的に欠損してしまったところへの治療法としてインプラントも知名度は上がっていますが、高額なため選択肢として選べない方が多い中、比較的安価で生体にも優しい部分入れ歯を選択される高齢者が今後は増大するであろうとのことで、少しでも満足していただける部分入れ歯をご提供できるようになるためには、部分入れ歯が現在に至った臨床的な足跡を辿り、その流れを理解することから先人たちが求めてきた多くのことを学び、問題点を解決することである、とのことでありました。

また仙台市でご開業の菅崎 直身先生の「パーシャルデンチャー(部分入れ歯)による欠損補綴~動きの少ないデンチャーを目指す~」も拝聴しました。部分入れ歯である程度しっかり咬めるためには、義歯の動きを抑え、安定した咬合を求めることが重要です。歯と入れ歯のバネの関係や歯と歯茎の関係をいかに工夫して義歯の設計に考えていくかを学んできました。

その次に足を運んだご講演は、明海大学臨床教授である田端 義雄先生の「総義歯の咬合を考える」でした。

歯周病治療の進歩や口腔衛生の普及により総義歯治療は減少すると言われていたようですが、超高齢化により実情は依然総義歯のニーズがあり、さらには難しい顎堤の高度吸収(歯茎が痩せている状態)による難症例が増えているとのことでした。

たしかに当院でも不適切な義歯安定剤の長期使用をされている患者さんの歯茎は、新しい義歯作成において難しさを感じることがあります。

総義歯治療は「形」と「咬合」と言われています。いかにうまく型取りをし、適切な形に作成するか。その「形」の問題は近年各段の進歩を遂げられました。「咬合」についても優れた人口歯が開発されており、快適な総義歯はこの両立が必要であることは必然とのことで、今回田端先生の約30年に渡る総義歯治療における「咬合」について学ばせていただきました。

これらを日々の診療に活かし、ひとりでも多くの義歯を使用されている方々のお役に立てる診療ができればと日々精進したいものです。

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